2019年08月10日

ビュッケブルグ歳時記 208

暑気の最高記録!


 寒さに対する武装には事欠かないドイツですが、7月末の42度という最高記録の猛暑と、それに引き継ぐ、ほとんど毎日の気温が30度以上になるトロピカル夏の毎日にはお手上げの当地です。
 日本の長い、激しい、蒸し暑い夏を知っていると、湿度が少ないだけでも過ごし易いと云いたくなるのですが、毎日の新聞には注意事項とか病状対策とか警戒事項などが細かく挙げられています。そしてこれは地球温暖化の混乱状態の、今年の夏のドイツを映しているように思えますのでお伝えしてみます。


 A紙は、「涼しい都市はクールだ」との見出しで、都会を覆う暑気に対しての処置対策を取り上げています。「暑いという感覚は都市と地方では10度も違う。
都市の家々は昼間吸い込んだ熱気を夜になって吐き出すことから、昼夜の温度に差が出ない。地方では夜になると樹木や植物が暑さを処理してくれる。最近は温暖化防止のためにCO2排出を少なくすることと同時に、森を作ることの重要さが指摘されている。ミラノ市が最近3百万の木を市内に植えたことがその好例である。
 旧東に多くあるパネル構造式建物は暑気を吸い込むだけなので建設停止になるのも近いと思われる。これからの建物は堅牢な石壁になるだろう。
 冷房装置を入れればよいとの意見には不賛成の一言。これは運行にエネルギーを必要とし、温暖化を進ませることを意味するのだから。
 その他は南ヨーロッパの国々の風習を見習うこと。例えばギリシャのように家を、熱をはじく白に塗ることや、空気の入れ替えは早朝と深夜に開窓し、日中は窓を閉めきって暑さを入れない空気交換法を学ぶことも重要」
 加えて「マドリッドの細い街路の上は布切れで日傘のような日よけが作られていて涼しい。この方法は我が国の巾の広い街路には適しないのが残念だが。ローマでは市の至る所に飲み水の出る蛇口が装置されている。ギリシャの野外マーケットでは、日よけの布の下に霧の吹き出る装置がつけられ、霧の中で涼しく買い物や歓談ができる。パリでは一定の暑さを超えると都庁から独り者の老年者に連絡があり、近くの清涼室に行きそこでの滞在と飲料水が与えられる」などの、他国の涼の取り方の紹介があります。


 B紙は暑さに対する健康注意事項を書き並べています。
 特に高年者と幼児に対する注意や、慢性の血液循環不備の病人、肺疾患の病人への特別な注意の他、暑気による吐き気や呼吸困難などの症状が出た場合の連絡病院の電話番号なども示されています。
 幸いに熱中症による死亡患者は、今のところ出ていないとのことです。
  

 C紙の標題は「穀物収穫機による火災危険」で、時々起る収穫中や収穫後の畑で起る火事について一農夫のT. さんにインタビュウした記事です。
 日本での穀物収穫風景は記憶にないのですが、この地では夏の終わりから秋にかけての広大な穀物耕地は、刈り残された穀物の根元が黄金の絨毯のように広がり、その上にはコンバインとよばれる複式収穫機で刈取られて大きな樽のように形作られた、牛の冬用の飼料が秋の太陽の残光を受けて、ゆるく広がる耕地のそこここに転がっている田園風景によく出会うのです。平和そのものを描いた絵のようです。
 が、この収穫中の畑に発火が起ることがあるのです。
 T. さんの話によると、耕地に散らばる小石と、収穫機の藁切り装置とが偶然出合って火花を飛ばすようになった場合。又は外温が非常に高くなり、機械の回転も
早くなった場合に燃料タンクの管が破裂することもあり、収穫機を運転する時は
音とか匂いとかに常時注意をしなければならない。勿論、消火器はどの収穫機にもついているが非常の場合の処置法も知っている必要あり。また機械の整備も重要な仕事であると強調して話しています。
 

 夏には世界中での森林や草地火災がニュースになります。雨が降らず、外界が乾燥しきっている状態のときには、自然発火があるとは解りますが、人間が起こすバーベキュウの後始末の悪さからとか、時折の放火からの火事は許せません。
 自然界がいつの間にか復活してくれることが、ただ一つの慰めです。


aokijuku at 14:10│コメント(0)

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