2018年04月28日

ビュッケブルグ歳時記 177

考えさせられる未来

 とっている日刊紙の日曜版がスマートホーンに牛耳られている最近の社会の現状や見解を記事にしていました。「IT器具が行き渡り、殆どの市民が一日に200回はスマートホーンの画面を覗いている。これは一種の病的中毒現象であるとWHO(世界保険機関)が最近格付けした」とありました。 
 そしてこの利器により人々が一瞬に身近だけではなく世界中の状況を知ることができるなどの利点とともに、マイナス面もあげられていました。友人知人との交流が、器具により人間性に欠けたものになる危惧や、保護者の子どもに対する時間切れ(描いた絵を見せようとしたモリッツに、アイフォーンに忙しい母親が「今忙しいから後で」と拒絶する例が特に読後の印象に残りました。

 そこへ日本の友人から、「今先進国ではほぼ2045年ごろをSingularity (技術的特異性)と考えて、いろいろな物事が進められているが、ドイツではそういう感じがありますか」との質問がありました。2045年もSingularity も聞いたことがなかったのですが、こちらの digitalisieren = デジタル化する、数字で表す、に相応することと思われます。
 デジタル化すると言われてもよく判らないのですが、易しくいうと人口能力のことだと勝手に解釈をしています。ロボットをはじめ IT 機械の研究発展が為され、多くの仕事がこれ等の機械によって成されることが目的と解釈しました。

 そしてどのようにしてデジタル化をしようとしているのかを知りたいと思っていた所に、ある記事が目に留まりました。
 数回前のブログで家庭大臣についてお話ししましたが、今回は連邦教育学術省のK.大臣(女性)のデジタル化への抱負をお知らせしたいと思います。
 
 「デジタル化は経済界のことではあるが、その基はIT技術を更に発展させる能力を持った人作りである。デジタル化後は多方面で社会が違ったものとなる。その違った社会で勝者となるためには、今、皆でそのための飛躍をしなくてはならない。そのためには教育を変える必要も起こる。学校教育は、変わる社会を作る人物養成と、その変わった世界で生きる人間作りをしなければならないのである。そこから授業方法も従来の方式から、変わる形になると思う。その時期に使用できるIT技術を出来るだけ使う方法がとられる。我が省は現在50億円の用費を与えられているので、自分としてはそれを各学校のIT機械の充実に分配し、それによって学校間の流通を速やかにする方針である」

 スマートフォーンの浸透から、人間同士の接触やコミュニケーションが無くなると心配になっていた所へ、人口能力の発展に拍車がかけられていると知らされ、機械が多くの仕事をするようになると人間は何をするのかなあと、全く違う様相となる未来が想像できず、心配になるのです。残念ながら時代に取り残されているわけです。

 でも、ここでの説明は不必要かもしれませんが、このような状況の中で慰めとなるのは、今住んでいる国の、国と市民の関係です。
 デジタル化についても、上記のとおり、一主婦にも判るように説明をし、教育までさかのぼる長い目で見ている内閣の意図を市民に知らせることで、理解と承認を期待していることがわかります。反対意見であればそれを表明することも出来ると思うと、民主社会であることがわかり、それが慰めになるのです。
 それにもう一つ、北朝鮮の核実験中止の意図や、北南の首脳会談予定によって、祖国日本の心配感が少しうすれるのではないかと思えるのも慰めになるのです。


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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