2018年03月24日

ビュッケブルグ歳時記 175

明るくみえる出来事


 昨年秋の選挙後、約半年を経て3月10日にこの国の政権が決まったことは日本に既報のことと思います。先政権と同じ、保守政党と社会民主党との大連合の提携がようやく話し合いの終局を迎えたのです。
 保守党10名、6名が社会民主党になる総16名の大臣が発表されました。その内、7名が女性大臣です。
 この半年間は、先期と同じ連合政権に対する不満や、4期連続のメルケル政権に対する批判もあったようですが、今は新しい政権に対する期待が耳に入ります。


 今回はその中で一番希望の光を放っていると思われる、一女性大臣についてお知らせしたいと思います。
 フランチェスカ・ギファイ(以下、G氏)という39歳になる社会民主党に属する家庭大臣です。日本にはこの部門の省は、したがって大臣も無いようですが。
 ブランデンブルグ(旧東)に生まれ、壁崩壊後西ドイツで教育を受け、教師志望だったそうですが音声障害のため政治に転向、ベルリンの一区であるノイケルンの管区長を2年間務めたという経歴です。
 

 ここで管区について説明します。ドイツでは、ベルリン、ハンブルグ、ブレーメンの3都市が Stadt(町)Staat(国)といわれる町国として、州と同じような 役目を果たしているのです。そしてベルリンは12の管区に分かれていて、この管区はそれぞれ政治的権力を持っているのです。


 この1区であるノイケルンは統治が最も難しい区とされています。居住者約30万人の国籍は160国にわたり、43%が難民や移住人ということです。こちらではこのような社会状態を Multi(多数の)-Kulti(文化の)と表現していますが、肌の色も、宗教も、習慣も違う人々の集団では、学校中退、犯罪、ユダヤ人排斥、イスラムの亢進などが日常茶飯事で、また金銭的にも貧困地区でもあるわけです。
 G氏は子ども達の教育問題には非常に熱心で、例えば、或る学校の古いトイレを新しくするとか、学校専用の検事をおき、学校刑事事件解決を図るとかの策を2年間に実行したそうで、社会的有効案を云うだけでなく、着実に実行に移すという、主動家でもあるわけです。このような区の区管長を務めたことについて、「女の身でこの区の区管長を務め得たのは、もしかしたら小革命であったかもしれない。これが若い女性たちへの見本となってくれればうれしい」と云っているそうです。
 このような、自身が破滅的な区の住人の身になって統治したG氏の業績が認められ、管区長から連邦大臣へと異例の出世となったわけです。
 なお、16大臣の中で旧東出身者は彼女一人です。 


 今朝の新聞に彼女へのインタビューが載っていました。
 「家庭、老齢者、女性、青少年問題があなたの管轄ですが、これ等の順番は」との問いに「子ども達が最も重要」と答えています。そして、「自分としてはこの国のどの子でも、貧富や階級の差に関係なく子ども達が平等に、自分で決めた道を生きることが出来るチャンスを持てるようにしたい」「そのためには先ず、全日制保育所の万全が必要である。指導者の教育を再考し、報酬も改善する必要を感じている。人間形成となる基礎は幼児期間に培われると思うので」と読んで、子どもの教育に重みをかける新大臣を惜しみなく応援したいと思います。残念ながら、日本国籍のわたしには選挙権がないのですが。
  


aokijuku at 00:30│コメント(0)

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