2017年10月28日

ビュッケブルグ歳時記 165

周りを見渡すと


 先週末、2人の女性と一人の男性とでブランチ会を開きました。この3人はもう30年も前になる市民学校のイタリヤ語講習を受けていた仲間なのです。講習を受けていた3年間ほどは、講義の後、時折、アナマリア先生を含めた数人でクナイペ(居酒屋)に行ったり、家に招いたりしていました。この習慣が、時には長い空間を置いたりしながらも今まで続いてきたわけなのです。ア.先生は事情で最近イタリヤに戻ってしまったため、残念ながら、今回も以後も欠席となります。


 ブランチ会の模様を大ざっぱにお伝えしてみます。
 出席の男性は、アメリカ黒人の父親とドイツ人の母親間の子どもで、今年62歳になるカークで、職業は弁護士です。彼は、この8年間は、この地方の赤十字社の総監督役をしていたのですが、カークの言い分では単なるモビングから退職のはめとなったのです。しかし裁判の結果は彼の正当さが認められ、合法的にまた弁護士にサバイバルしたという職歴です。この間の事情は地方新聞でも大きく取り上げられていました。
 カーリンとアネグレートの2人はすでに退職して、主婦業にある人達です。
カークと女性たちは3年以上の空間の後の再会であったので、会の最初はカークの赤十字社退職事情に話題が集まり、この一事だけに占領されていました。


 その後、やはり話題は難民問題に移り、カークとカーリンは数人の未成年難民者の保護監督役に就いていることを知りました。 
 カークの外貌は全くの黒人とのハーフです。彼に、外国人としてみられてイヤな思いをしたことがあるかと訊くと、5歳で弟と米国から祖父母の下に帰ってきた彼は、ドイツ人として成長しているので、また余り繊細さを持たない性格のせいか、外部からの攻撃に対してこだわりの無い処理法に長けているような感じの返事でした。例えば学生時代に下宿を探して、外国人には貸さないと拒否されても、それを受け流すことができるような感じです。今回のモビングも、肌の色が関係しているかもという見方は、全く法外な憶測であるようにも感じられます。このような外界に対する動揺しない精神というか、性格のタフさを持つことも生き方の一方法だとも思いました。そして外国人の容姿を持っていることが、外国人の立場をより良く理解できるとは云えないことも知りました。いろいろな所で、異民族の共存の困難さを見せつけられるのです。


 女性2人が帰った後、カークはもうしばらく居ても良いかと訊くので、OKしました。それからの話は彼の女性問題でした。2回の離婚の後、私の知る限り2人の女性と同棲していたのです。そして今は11歳年下のウルリケと一緒にいるそうです。60を超えた年齢からも、彼女との関係が末永く続くことを彼自身も願っていると思われます。前記のように、何事も大ざっぱに受け流す彼の性格から、相手のことを考えることが少ないのかもとの印象があったので、今回の赤十字免職事件にかけて、少し出過ぎかなとの気持ちを脇にどけ、人との生活は、人のことを考えないと全うできないことだと思うと、おセッキョウをしておきました。赤十字勤務で、弁護士生活には無い、普通のサラリーマンが置かれているグループ社会生活を経験出来たのだから、私生活でもそこで学んだことを活かすようにしたらと意見したのです。しばしの沈黙がありました。そして「ありがとう、イク。今日は楽しかった」といって帰ってゆきました。


 最後に、日曜日に載った河辺さんのブログに御礼を申し上げます。
実は、コミュニケーションという言葉がよく理解出来ていないわたしなのですが、偶然、先週の会を考えると、言葉で私の意見を伝えて、もしかしたらその応答があるかもしれないと思う時、これでコミュニケーションの一片を実行したのかもしれないと思うと嬉しくなるのです。




aokijuku at 01:00│コメント(0)

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