2017年02月11日

ビュッケブルグ歳時記 148

闇の中に見えるもの


 大西洋の向こう側の国では新大統領が就任以来、数々の数奇な布告が出されたり、こちら側の大陸では、EU同盟国々間の結合や、NATOの行く先が脅かされるなど、今の世界は薄闇に包まれているような気がします。
 アメリカで出されている、全ての国民への健康保険保障案は中止にするとか、メキシコとの間に壁を建設予定とか、中近東7カ国からの人民に入国を禁止するとかの大統領指令は世界を驚かせるに十分な内容で、それらが施行された時には世界が闇に包まれると思うと空恐ろしくなります。この布告が作るだろう闇に対して、世界形成の一国としてのドイツがどのように対応したら良いかに付いては、新聞TVなど、全メデイアが様々な意見を持って取り上げています。
 

 この中の一意見に、庶民の一人としてわたしが驚いたことがあります。今日はそれについてお伝えしてみます。
 世界が闇に向かっていることは、蔓延っているテロ行為が根源にあることは確かだと思います。ここで思い出していただきたいのは、2016年の大晦日にベルリンのクリスマス市場で起った、大型トラックによるテロ事件です。この事件の容疑者は、チュネジア国籍のA.Aということが判っていたそうですが、証拠希薄のため逮捕におよばず、また書類不足のため強制国外追放も出来ず、現在は地下潜伏となっているとのことです。 この事件がきっかけとなり、今、予想テロリストたちに対する「電子足枷」使用法が議会にかけられているのです。


 「電子足枷」とは、発信機が入った小さな容器と受信基地とが繋がれている機具で、発信機が足首に巻かれているため、核当者は常時、居る場所がコントロールされるわけです。ドイツでは5年前から合法となり、5州で施行されているということです。主に児童に対する性犯罪者と少数の重刑者に使用されているようです。


 この、今まで知らなかった「電子足枷」がTVの画面に映し出され、軽くはあっても一種の刑罰具を、危険発揮予想*テロ容疑者に装着する法規が作られようとしていることに、この国にも闇が迫っているような気配を感じるのです。*の予想とは、Gefaerder=危機を起こしそうな、という疑いのある人の意で、事件を起こしたという事実のある人物だけを対象にしているのではないのです。テロの疑いがあるというだけで、足枷を付けるということが法治国でもあるのかと驚いたのです。
 

 ここで標題ーー闇の中に見えるもの、に戻っていただきたく思います。テロ災害を避けるために、この法案に賛意を示す国民の数も多いようですが、闇の中に光る意見もあるのです。「今までは「足枷」付けには、3年間の刑期全うの後も安全が疑われる場合や、再犯が予想される場合のみとの条件があったが、それを変える法規を新たに作ることは、テロの武器に、法変更という武器で対抗することになり、これは法治国がIS国と同じ水準になることを意味する。我々は武器をもってではなく、精神をもって対応するべきではないか。そして、我が国の憲法2条に記されている『個人の自由は不可侵である』は、ドイツ人だけを対象にしたものではなく、この国に居る全ての人を対象にしていることを忘れるべきではない」です。


 ここで米国新大統領の中近東国人入国拒否布告が、法官が最後の決定をすることで拒否されたことを知り、その国の持つ憲法の重要さを改めて知らされました。








aokijuku at 11:19│コメント(0)

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント