2016年05月28日
ビュッケブルグ歳時記 132
難民問題 ー トルコとの交渉
トルコとの難民問題協定やバルカン・ルートの閉鎖などにより難民問題の解決も目の前にあるように思われていた所へ、トルコのエルドガン党首から再度の難題が出されて、またまたEU圏の安泰が揺さぶられています。
3月28日にEU国と決議された協定施行に対して、トルコは、トルコ市民のEU国への査証不要権(トルコ人の誰でもがビザなしでヨーロッパへ出国出来ること)を要求してきたのです。これをそのまま受け入れることは、テロリストもヨーロッパ国に自由に入国出来るということでもあるので、EU国としてはトルコのテロ対策に関する法規を変えることを条件に出したのですが、エルドガン党首はそれに一顧だにしないという、いわば専制主権者的態度で応じているのです。
EU側はテロリスト達の足取り把握のための追跡を目的としていて、現在では
IS・テロリスト達を対象にしているわけで、政治的反動者を対象としているわけではないのですが、民主主義が徹底していない国トルコの大統領は、対象を政治的反動者やクルド戦闘者や反政府ジャーナリズムが含まれていると杞憂しているのです。主権者の権力が破壊されるのを恐れているわけです。そのためエルドガン党首はEU側に近い意見を持ったダヴトグル議長に退任を命じ、今は議長組織の改革をしようとしているそうですが、そのためには賛成票が足りないということです。
メルケル首相は度々のトルコ訪問を果たし、先日もエルドガン党首と交渉をしたのですがその結果は「大きな憂慮あり」ということです。トルコとの難民デイールは国民の大きな関心事でもあるのです。そしてこれは来年の選挙へ、またEU圏確保とも繋がるわけです。
この明るくない交渉結果直後の国民の反応は次のとおりです。市民の大多数が、
右翼の勢いが急増しているにも関わらず、「例え協定破棄となろうとも、メルケル首相はまた新しい方法を考え出すだろう。それを期待して我々は首相を支持する。」と首相を後押ししています。国民は、たとえ協定が施行されなくなった後も、首相はトルコを非難することはせず、新しい政策を探すだろうと首相の施政を信用しています。現在のドイツはこのようにメルケル党首に多大な信頼を置いています。
そしてもう一つの調査の結果に目が留りました。「協定が施行され、バルカン・ルート封鎖が継続されることで難民問題は解決されるかと思うか」の問いには
89%の国民が NEIN=いいえと答えていることです。この市情調査の結果から、この国の人達は難民問題解決はそう容易いことではないと思っているのが判ります。
ここで思い出されるのがアメリカのアフガニスタン民主化への仲介です。このことは、異なる歴史、文化文明、宗教などの下で成り立ってきた国を変えるのには長い時間がかかるということを私たちに示しました。この例のためかどうかは不明ですが、地的に西欧とその下のアラブ諸国の中間にあるトルコ国がこのような異文化の国で、その考え方を変えるには時間がかかるとして、国民の大部分は難民問題を長い目で見る努力をしているように思えます。
トルコとの難民問題協定やバルカン・ルートの閉鎖などにより難民問題の解決も目の前にあるように思われていた所へ、トルコのエルドガン党首から再度の難題が出されて、またまたEU圏の安泰が揺さぶられています。
3月28日にEU国と決議された協定施行に対して、トルコは、トルコ市民のEU国への査証不要権(トルコ人の誰でもがビザなしでヨーロッパへ出国出来ること)を要求してきたのです。これをそのまま受け入れることは、テロリストもヨーロッパ国に自由に入国出来るということでもあるので、EU国としてはトルコのテロ対策に関する法規を変えることを条件に出したのですが、エルドガン党首はそれに一顧だにしないという、いわば専制主権者的態度で応じているのです。
EU側はテロリスト達の足取り把握のための追跡を目的としていて、現在では
IS・テロリスト達を対象にしているわけで、政治的反動者を対象としているわけではないのですが、民主主義が徹底していない国トルコの大統領は、対象を政治的反動者やクルド戦闘者や反政府ジャーナリズムが含まれていると杞憂しているのです。主権者の権力が破壊されるのを恐れているわけです。そのためエルドガン党首はEU側に近い意見を持ったダヴトグル議長に退任を命じ、今は議長組織の改革をしようとしているそうですが、そのためには賛成票が足りないということです。
メルケル首相は度々のトルコ訪問を果たし、先日もエルドガン党首と交渉をしたのですがその結果は「大きな憂慮あり」ということです。トルコとの難民デイールは国民の大きな関心事でもあるのです。そしてこれは来年の選挙へ、またEU圏確保とも繋がるわけです。
この明るくない交渉結果直後の国民の反応は次のとおりです。市民の大多数が、
右翼の勢いが急増しているにも関わらず、「例え協定破棄となろうとも、メルケル首相はまた新しい方法を考え出すだろう。それを期待して我々は首相を支持する。」と首相を後押ししています。国民は、たとえ協定が施行されなくなった後も、首相はトルコを非難することはせず、新しい政策を探すだろうと首相の施政を信用しています。現在のドイツはこのようにメルケル党首に多大な信頼を置いています。
そしてもう一つの調査の結果に目が留りました。「協定が施行され、バルカン・ルート封鎖が継続されることで難民問題は解決されるかと思うか」の問いには
89%の国民が NEIN=いいえと答えていることです。この市情調査の結果から、この国の人達は難民問題解決はそう容易いことではないと思っているのが判ります。
ここで思い出されるのがアメリカのアフガニスタン民主化への仲介です。このことは、異なる歴史、文化文明、宗教などの下で成り立ってきた国を変えるのには長い時間がかかるということを私たちに示しました。この例のためかどうかは不明ですが、地的に西欧とその下のアラブ諸国の中間にあるトルコ国がこのような異文化の国で、その考え方を変えるには時間がかかるとして、国民の大部分は難民問題を長い目で見る努力をしているように思えます。
aokijuku at 02:00│コメント(0)│