2015年12月12日

ビュッケブルグ歳時記 122

テロの展開をめぐって 1 

 IS国に対する応酬として、多数の犠牲者を出したフランスに団結表示してドイツも6台の偵察機(トルナド)と1台の軍艦を出すことになりました。この他に1200名の兵隊の出動も決まりました。これは戦争に参加することを意味しています。03年の対イラク戦争には当時社会党が政権を持っていたドイツは参加を拒否しましたから、今回は最大の軍事出動となります。今回はこの事実に対する市民の反応をお伝えしたいと思います。

 国会決議では武力施行に対する賛否は445/146で、反対派はみどりの党と左翼党です。左翼党は原則的に軍隊出動に反対で、みどりの党は空撃だけを戦略とする与党案には賛成出来ないと主張しています。

 この「軍事戦略」ということから昨日の新聞記事を思い出しました。ベルリン大学政治学教授Sの意見です。教授は対IS戦は意味なしとしているのですが、そこへ至る迄の思考過程が、先回ブログに書いた若い人達の意見を肯定するものだとわかり興味を引かれますので大要を書いてみます。
「130人という犠牲者をおろそかに扱うわけではないが、テロ騒動を大袈裟に取り扱いすぎたのはよくなかった」「テロの目的は相手を脅すべくスペクタクルを行うことで、ISはアメリカでのテロには成功したが、今回のパリ・テロには我々はのるべきではなかった。せいぜい肩をすぼめて、無視するべきだった」
                                                
「仏首相は自国の貧困や失業者多などの社会問題の協議は避け、テロを戦争に繋げたが、これには自己欺瞞があるのではないか。テロリストは世界中に散っているし、シリアに居るテロリストを飛行機から攻撃するのは全くの無駄な行為と云える。それでもドイツが協力を拒否することはヨーロッパ同盟の破綻に繋がると考えると、戦争参加はほとんど強制に近い」「参加が避けられないとすれば、国家としては自国兵隊の生命保守を第一に考えるべきであろう」「IS国を承認することで平和がもたらされるかという問いへの答えは不明。そこからIS対策法は現在の段階では具体的な方法を考えられないのだが、強いて云えば ”時” が解決してくれると云えるかもしれない。どういうことかといえば、長い期間、例え何世紀かかっても我慢強く待つことである。それには今後も起るであろうテロ行為を沈着に受け止め、精神も肉体的にも傷つかない強靭な気質を養い、ISテロリストたちの頭がマトモになる迄待つことが、我々に残された対策法だと思われる」


 これがS教授の見解です。戦争参加決定後、このように考える市民が多いように思えます。また、現在のメデイアも影響を受けたのか扱い方が冷静になったように思えます。直後に起きたアメリカでのテロがイスラム教の妄信ということから、テロに対する対面方を考えさせられ、民意もこの教授が指摘する方向に向かっているのかもしれません。英国でのテロも同じことが云えます。

 アメリカはアフガニスタンを民主主義国にすると云って戦争から始めたのだと思いますが、イスラムという違うシステムの国、国民を数年で民主国にすることがそう簡単ではないことはわたしのような政治無知識者でも考えられることです。その改革には長い、長い月日が必要なのだと思います。


aokijuku at 00:10│コメント(0)

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