2015年03月28日

ビュッケブルグ歳時記 105

相互理解の困難さ 

 皆様もご存知のように3月初めにメルケル首相が訪日しました。このことが、2国間の友好関係にどのような影響をもたらすかと期待を持って質問応答を新聞で追っていたのですが、残念ながら余り良い結果にならなかったように思われます。理由は、首相の帰国後、「和解」発言が誤解されたとの抗議文がドイツ政府から日本外務省に送られたという3月13日の新聞記事を見たからです。
 これは首相が民主党の岡田氏との会談の折り「日経関係は和解が重要」と発言。この発言が日本では、日本政府は過去の問題をどうすべきかとの助言のごとくに報道されたことへの抗議であったとの記事です。「自分(首相)は(過去との向き合い方を)助言するために日本に来たわけではない」と記者会見で云っているのにも係わらず、命令形のように報道されたことへの訴えのようです。  
 「やはり・・」と、とてもがっかりしました。この誤解は通訳のミスからかとか、メデイアの煽動なのかとか、メンタリテイーの相違が原因かとかいろいろ考えられるのですが、両国に係わる市民の一人として、それだけで止めておいてはいけないことだと痛切に感じました。
 そこへ、一読者から「地球回覧 日本への失望抱くドイツ」 という新聞記事を示されました。専門の記者の観測記事です。大要を書き出してみます。・「日本は世界に良い影響を与えているか」との問いに対して3年前には58%が賛同していたのに対し、現在は28%と半減 ・災害3ヶ月後にドイツは脱原発、反して日本は再開 ・中国と歴史認識で争い続けることも不理解 
 このような事項説明の後、記事はこの国の現状に触れてきます。・ドイツは東西統合を果たし、欧州統合にも努力を積んでいる ・ウクライナ状勢では米国と対等に話し合える国勢である 
 そしてこの現状はこの国が過去をきちんと清算していることが基礎となっているとあります。グロバール化の進展が早かったことから戦後70年のドイツは「モノをいう大国」となった。そして日本もグロバールな目線での政策と思考が必要であると結論しています。そうでないとG7でも日本は孤立してしまうと懸念しているのです。


 この記事の大半に賛成しますが、最後のグロバール化という箇所にはもっと具体的な説明が欲しかったと思います。日本の新聞にもよく未来の人材としてグロバールな考えを持つ人物をとあるのですが、どういう人を指しているのかよく判らないのです。


 過去の清算ということはよく聞きます。日本とドイツの違いは清算が出来ているかいないかにあるということもよく耳に入ります。
 現在、ウクライナの市街戦争の休戦がまがりなりにも実現していることには本当にほっとしています。そしてある日のTVで、オランド首相が隣のメルケル首相の手を取って、「あなたが居たから休戦にこぎ着けられたのです。ありがとう」といっている場面が写りました。長い間の大敵のフランス人が、ドイツ人にこう云う場面を見たとき、そこに「理解、和解」を見たような気がしました。


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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