2014年09月27日

ビュッケブルグ歳時記 93

小学1年生となるには


 友達の孫が6歳になり、今年から学校に行くことになるので、前にご紹介した、入学祝い円錐形の筒に入れる贈り物を何にしたら良いかと考えていたところへ、入学を一年遅らせるという電話がありました。


 この国では小学生になるには、入学の年の9月30日までに6歳になる 子ども達の全ては、「学校に通える資格は」とでもいえる試験のような検査を受けなければなりません。この検査は、その子が幾つまで数を云えるかとか、アルファベットを書いたり読んだり出来るかとかの知識を検査するのではなく、身体成長状態や精神(心)上の発育状態、学校という共同体への順応性をチェックするのが目的です。
これは子どもの住んでいる地域の小児科医によって行われますが、基準は州全体に行き渡る客観的な形が作られています。私の住んでいる州では、今年は検査を受けた子どもの70%が適正を認められています。テストされる内容は次のようなものです。
 身長と体重の測定。視聴覚の検査。予防接種パスの確認。これに続き次のような知覚検査が行われます。
1 運動性・・ペンを上手く持つことが出来るか、鋏を使えるかなどが精密モトーリックとして。15秒間に横跳びが何回出来るかが身体運動能力として。
2 知覚認識・・色の区別が出来るか。量の把握の如何。6歳では少なくとも10まで勘定出来ることが望ましい。
3 言語能力・・担当医者は検査間に、その子が自分のことを適切な言葉で文法に添って説明出来るかなどから能力を判別する。また、その子が他の子ども達とコミニケーションが出来るかを見る。
 この検査で発育状態が学校生活に足りないとの結果が出た場合には、検査医師から両親と入学するべき学校長に注意状が送られます。ただしこれは状況を知らせる役目にとどまり、入学を1年延期するかどうかは、保護者と学校との話し合いで決めらます。延期する場合、発育不全の助成が必要であれば相応の処置が相談されます。
 このような検査試験は、外れたからといっても能力不足という感覚で受け止められることはなく、1年入学を遅らせることが、その後の学校生活にポシテイブに働くという見方が強いのです。子どもにとって学校生活がストレスになるのなら、
一年遅らせるのが当然という考え方なのです。付け足しとなりますが、10月1日に生まれた子どもでも、発育状態が適していて、当人と保護者が望む場合は5歳で入学する子どもも居るのです。ですから生徒の年齢は、同学年内で3歳異なることも往々なのです。社会がこのような考え方ですから、友達も孫の入学延期を普通の判断として知らせてきたわけです。
 このことから、教育は一人ひとりの子どもに合う形にすることが可能という、子どもの人権尊重と、「ゆとり」が感じられます。そして、学校という子どもの社会への順応が検査項目にあることに注目が行きます。


 このようなことと相成って、考えさせられる次のようなことを読みました。
最近は運動性に欠陥がある子どもが増えているということ。これは、コンピューターやテレビがはびこって、パズル遊びや絵を描くこと、よじ登り遊びなどをさせる家庭が少なくなったことから来ているということです。これはドイツだけではなく世界中での現象かも。


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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