2013年12月07日

科学雑誌と「すこし、ふしぎ」

 以前、藤子・F・不二雄ミュージアムを観た際、とにかく圧倒されたのが、藤子さんの書斎の本棚でした。
 ドラえもんたちが生みだされる机の上に、高くそびえる本棚。その圧巻の展示方法も見事ながら、本のラインナップが多岐に渡りとても驚きました。
 西部劇、宇宙の冒険など、藤子ワールドではおなじみのモチーフから、古代ローマあたりの歴史本、落語のテープに至るまで。これでも蔵書の一部との事で、読書量の多さに圧倒されました。
 かつ、机には『ニュートン』といった科学雑誌もあり、常に最新の科学情報も読んでいたようです。

 さて、毎年ドラえもんの映画原作として描かれていたのが、「大長編 ドラえもん」。通常連載のドラえもんは日常からひみつ道具で事件が起こっていくストーリーに対して、大長編は、日常とは全く違う世界へ飛出し、冒険するスタイルになっています。 一年ごと、全く違う世界へ読者をいざなってくれる大長編ですが、どの世界も、違和感なく、読者をすっと引き込んでいく所にも凄さを感じます。

 たとえば、絶筆となった『ねじまき都市冒険記』では、「火星に生命の痕跡があった」というニュースを巧みに取り入れ、かつ、これからを生きる子供たちに未来を託すような形にしたり。『竜の騎士』では、当時最新の学説で恐竜の滅んだ訳を説明しつつ、それをひみつ道具で助けられないかという、ある種離れ業のような展開が待っています。

 徹底したファンタジーには、細部にリアリティーが宿っている。多くの新しい科学の発見を知り、それをどんどん世界に広げていくことが、奥深い藤子さんの漫画の世界、「すこし、ふしぎ」(SF Sience fiction を藤子さんは、あえてこの様に訳していました)が読み継がれている訳なのかなと思っています。
 常に知りたいと好奇心を膨らませつつ、自分の本当に面白いと思えるような作品を、情熱をもって生み出す。そんな藤子さんの姿勢を凄く尊敬し、目指していきたいと思っています。                            (ぴのん のぞみ)


aokijuku at 00:05│コメント(0)

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