2013年07月27日

ビュッケブルグ歳時記 65

TAFELーー社会救済の、或る組織

 7月半ばのことですが、日本の一デジタル新聞紙上で、「捨てる食品減らそう 8月から35社、流通で実験」という題名が目に入りました。そして、これも新聞記事になりますが、最近、レストランででる料理の量が、高齢者の客には多すぎるため、廃棄する食べ残しが多量に出るとか、商店で、記載されている賞味期間が過ぎて捨てる食品も多いとあり、読む度にもったいないと思っていました。
 食については、日本は世界一の水準と思っていました。特にドイツのように、食にかけるお金が少ない国にいると、日本の食の豊富さには眼を見張る思いがします。この国でも、最近の大都市や大学都市での日本食の流行など、食生活の発展は大きいという但し書きを付け足ししなければなりませんが、高年者や小都市の住民の食生活は依然として低いままなのです。ですから、この、「もったいない」は心底からそう思うのです。それが、考え直されたと知って、嬉しくなったのですが、今回の案は、賞味期限を緩和するという初期的なことに限られているようです。

 ドイツでの捨てられようとする食品の処置法は違った形なので、ご紹介します。
 TAFEL と呼ばれる、ある種の社会的な救済組織です。
 この組織の基は、1963年に米国で「食料銀行」として始められたもので、
20年後にベルリンで受け継がれたそうです。
 この組織は、売れ残りの食品、賞味期間を過ぎた食品、生産され過ぎた食品を集めて、無料か、場合によってはごく安い値段で、社会保障を受けている人など、補助が必要と見なされる家庭や人に分配されるのです。
 前記のような食品を提供する商売人や、この食品を集めるのには運搬車が必要となりますが、これらは提供者やスポンサーの支持があります。そしてこれ等の運営は全てボランテイアの人達によってなされています。
 これを聞くと、教会関係の組織かと思う方も多いと思われますが、そうではなく
地方自治体が組織者なのです。今では全国に三千の施設がありますが、地方が基盤なので、分配する範囲は大きくはありません。
 このような救済は、sozialstaat(社会福祉国家) としての国の義務であるとされる傍ら、この組織を道具とみなすことで、困窮階級の救済だと錯覚してはならないとする政治批判もあります。それよりも最小限度の生活ができる俸給を保証してくれる政治を、という言い分です。Tafel という言葉の本来の意味が、「ご馳走の並んだ食卓」なので、この派の人達が、皮肉から付けた名前かとも考えられます。

 このような組織を知ると、sozialーー社会的という言葉の訳を、又考えさせられます。決してネガテイブな意味ではなく、必要な人達を助ける食品分配法で、ポシテイブな面が大きく見えるからです。
 また、感心するのは、この施設の運営がボランテイアの人達によってなされていることです。この国のボランテイア力の大きいことはいずれお知らせするつもりですが、このように、地方に限られた小さなことでも、市民が自発的に社会活動に参加すること、これが行く末の、市民の声が反響している政治に繋がっているような気がします。

aokijuku at 00:05│コメント(0)

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