2012年08月26日

リニアとLCC


“「空飛ぶ電車」を目指して“―いま注目の格安航空LCCピーチ・アビエイションCEO
井上慎一氏のエッセイ(文芸春秋8月号)のタイトルである。井上氏は、航空機が電車のように便利・安価な交通機関となることを目指し、日本におけるLCCというビジネスモデルの確立にまい進中の意気込みを語っている。

これを読んで気になったのは、LCCに追われるJALやANAのことでなく、まもなく着工を目指して計画が進んでいるリニア中央新幹線のことである。LCCが「空飛ぶ電車」を目指す一方で、地中を飛ぶ航空機をめざす列車がリニア鉄道である。リニアは鉄路上を車輪で走る軌道列車ではない。磁力で10センチ空中に浮いた車体が、ほとんどトンネルというカブセル状の軌道を時速500キロという超スピードで突っ走る。運転手もいなく外部から操作され、航空機のように地中を飛ぶ列車がリニア新幹線である。

気になるというのは、リニア新幹線は東京(品川)−名古屋間を2015年から12年間かけて建設され40分で移動できるようになるが、飛行機ならいまでも東京と名古屋間の実飛行時間は30分ぐらいですむことである。羽田と小牧という市街地に近い空港間がLCCで安価に移動できるようになれば、リニア新幹線は無用の長物になるかもしれない。

後者は、空港・航空機というハードは既に存在するが、その実現を阻んでいるのは人間が作っている規制というソフトである。発想と制度を変えれば、2027年まで待つことなく今すぐにでも実現できる交通システムである。
それに比べると前者のリニア中央新幹線は、航空機の世界でより早くと開発されたが失敗のプロジェクトに終わった「超音速機コンコルド」の鉄道版となる恐れがある。


aokijuku at 10:44│コメント(0)

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