2012年05月19日

スペイン体験記 21

スペイン語での専門教科の授業に少しづつ慣れ、アンドレスのやや図々しい態度にも
慣れたころ、同じ音楽院で学んでいる日本人の先輩と知り合うことができました。

Aさんは私より3,4年前からスペインで勉強しており、何かとお世話になった大事な方です。
そのAさんにアンドレスを知っているか訊ねたところ、驚いたようにアンドレスについて話してくれました。

アンドレスはAさんと同時期にスペインに来ており、当時のアンドレスの演奏力は群を抜いていたということでした。その頃のアンドレスの演奏に対する集中は他人を寄せ付けないとても厳しい雰囲気を纏い、ちょうど同じ時期に台湾から勉強にきていた同国人にはとても評判が悪く、常に一人でいたという話しを聞いて私の方がびっくりしました。

アンドレスはギターの実技を先に修了させ、(私が音楽院に入った時には実技のみの修了は廃止になりました)
当然のごとく首席で終え、既に国際コンクールでも優勝を飾っているという話しを聞いて更に驚きました。
アンドレスと仲良くお茶を飲むようになっても彼は私に一切、そんな話しは語りませんでした。
Aさんの話しを聞いてアンドレスが孤独と引き換えに得た結果と、現在のアンドレスの余りにも柔らかい態度を思うと、なぜか悲しいような、でも周囲に何も言わせないその強さにとても感銘しました。

そんな話しを聞いてアンドレスに「お前、すげーなー!!」
と、Aさんから聞いた話しの経緯を語ると、はにかみながら「あの時は若すぎた」
と、自慢するでもなく、むしろ首席を取った当時の自分は好きじゃないと話してくれました。

むしろ、私には首席なんぞ取らなくていいから周囲の人間を大事にした方がいいという今までのアンドレスらしからぬ一面を垣間見ることができました。

その後、アンドレスには色々と教わりました。但し、ギターや音楽ではなくもっぱらビンゴというギャンブルと中華レストランでしたが・・・。


aokijuku at 08:18│コメント(0)

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