2012年04月29日
ビュッケブルグ歳時記 33
大学への入学 前号のつづき
もう一事、大学教育について最近変わってきている事実を書かなければなりません。高校の期間についての*と同じで、ヨーロッパ統一ということからの変化です。
小学校から高校卒業まで13年を続けてきたドイツですが、加えて数年前まで兵役義務があったこと、またドイツ特有の大学学習期間が長かったことは、生活範囲がヨーロッパと大きくなったドイツの青年にとっては大きな不利点になってしまったのです。他の国の年の若い卒業相手との競争にはデメリットになるわけです。
話が前後してしまいますが、昔、日本だけでなく世界から高い評価を与えられていたドイツの大学制度とその成果は、教授側も学生側も「研究」ということが一番の目的であった所から生まれたもので、学生は自分の志した研究が終わるまで、時には長々と、学生で居られたのです。
しかし教育も就職もヨーロッパが地盤になった現在は、他の国との差を考えることが必要になったのです。卒業年齢が高くなれば、就職に不利になります。このようなことから、国間の文化理解を深めるというような内容だけでなく、教育期間も平等にということになりました。
1997年にBologna-Prozess(ボローニア・プロセス)と呼ばれる、仏、独、伊、英が主になってヨーロッパ上級教育制度の統一宣言がなされ、今は43の国が参加しています。これは例えばヨーロッパ中の国での大学勉学をスムースにするため,システムを同じにしようという案です。ここから、bachelor(学士)、master
(修士) 制度がドイツでも採用されることになったのです。
B,.- Prozess で、European Credit Transfer System (ECTS) という、点数システムが出来ました。このシステムで1−3ゼメスター勉強して180−240のECTSをとると、bachelor の資格がとれ、その後300ECTSをとるとmaster が与えられるというものです。この制度がアメリカの制度と同じになっていることも、発生に拍車があったと思います。
この制度によると、一目で分かるように勉強期間は短くなりましたが、この制度はドイツの多くの教育関係・メから批判があることも書き添えておかなければなりません。3年でとる学士資格の質には大きな疑問がある、このシステムでは経済面や職業面に重しが置かれ、ドイツが誇りにしてきたフンボルト精神の理想はどこへ行くのかなどが批判点です。最初から医学界はこのシステムを受け入れていません。が、20012/13年にはオルデンブルグ大学と、オランダのグローニンゲン大学が提携して、このシステムの医学部を始めるということも耳に入ります。このようなことも多くの意見が尊重されるデモクラシーの表れかと思わされることの一つです。
大学入学について書きましたが、ドイツの教育はとても、とても複雑で、お判りいただけるかと不安です。
日本とドイツの制度の違いからの成果は別問題として、少しでも社会の底にある民主主義の雰囲気を感じていただきたいと思います。しばらく教育について書きますので、読んで下されば嬉しいです。わたしも出来るだけの努力をします!
もう一事、大学教育について最近変わってきている事実を書かなければなりません。高校の期間についての*と同じで、ヨーロッパ統一ということからの変化です。
小学校から高校卒業まで13年を続けてきたドイツですが、加えて数年前まで兵役義務があったこと、またドイツ特有の大学学習期間が長かったことは、生活範囲がヨーロッパと大きくなったドイツの青年にとっては大きな不利点になってしまったのです。他の国の年の若い卒業相手との競争にはデメリットになるわけです。
話が前後してしまいますが、昔、日本だけでなく世界から高い評価を与えられていたドイツの大学制度とその成果は、教授側も学生側も「研究」ということが一番の目的であった所から生まれたもので、学生は自分の志した研究が終わるまで、時には長々と、学生で居られたのです。
しかし教育も就職もヨーロッパが地盤になった現在は、他の国との差を考えることが必要になったのです。卒業年齢が高くなれば、就職に不利になります。このようなことから、国間の文化理解を深めるというような内容だけでなく、教育期間も平等にということになりました。
1997年にBologna-Prozess(ボローニア・プロセス)と呼ばれる、仏、独、伊、英が主になってヨーロッパ上級教育制度の統一宣言がなされ、今は43の国が参加しています。これは例えばヨーロッパ中の国での大学勉学をスムースにするため,システムを同じにしようという案です。ここから、bachelor(学士)、master
(修士) 制度がドイツでも採用されることになったのです。
B,.- Prozess で、European Credit Transfer System (ECTS) という、点数システムが出来ました。このシステムで1−3ゼメスター勉強して180−240のECTSをとると、bachelor の資格がとれ、その後300ECTSをとるとmaster が与えられるというものです。この制度がアメリカの制度と同じになっていることも、発生に拍車があったと思います。
この制度によると、一目で分かるように勉強期間は短くなりましたが、この制度はドイツの多くの教育関係・メから批判があることも書き添えておかなければなりません。3年でとる学士資格の質には大きな疑問がある、このシステムでは経済面や職業面に重しが置かれ、ドイツが誇りにしてきたフンボルト精神の理想はどこへ行くのかなどが批判点です。最初から医学界はこのシステムを受け入れていません。が、20012/13年にはオルデンブルグ大学と、オランダのグローニンゲン大学が提携して、このシステムの医学部を始めるということも耳に入ります。このようなことも多くの意見が尊重されるデモクラシーの表れかと思わされることの一つです。
大学入学について書きましたが、ドイツの教育はとても、とても複雑で、お判りいただけるかと不安です。
日本とドイツの制度の違いからの成果は別問題として、少しでも社会の底にある民主主義の雰囲気を感じていただきたいと思います。しばらく教育について書きますので、読んで下されば嬉しいです。わたしも出来るだけの努力をします!
aokijuku at 00:03│コメント(0)│