2011年12月21日

金正日の死−北朝鮮に春は来るか

東アジアの最後の独裁者、金正日が列車で国内視察の途中、12月17日午前8時半、突然死亡した、69歳。死因をめぐる疑惑を防ぐためか、直ちに解剖に付されて脳梗塞であることが明らかにされ、19日正午すぎに朝鮮中央テレビは正式に死亡を発表した。後継者には三男の金正恩が定まっている。まだ28歳である。
独裁国家でカリスマが亡くなれば、求心力の低下でこれまでのような国家統治が不可となり混乱が起きること明らかである。北朝鮮はミャンマーとならんでアジアの軍事国家であり軍のパワーが強大といわれている。そのミャンマーも一応は総選挙という民主化の形をへて軍部独裁から脱して、外交的にも中国一辺倒から西側にも門戸を開き、開放経済の道を歩もうとしている。

北朝鮮がミャンマーと異なるのは、核とミサイルを持っている武装国家だということである。この国の混乱は、核とミサイルのボタンに繋がる危険がある。突然暗闇となった隣家の予測困難な状況を伺いつつ、不安のなかで隣国日本は過ごさねばならない。年末になって新たな災厄が起きたともいえる。
しかし、中長期的に見るとカリスマの死によって軍事独裁国家に変化が期待される。まだ断言は出来ないものの、ミャンマーのようにこれまでの路線を変更し西風を入れようということになれば、「北朝鮮に春が来る」可能性がある。そして分断国家であるだけに、その路線変更が東西ドイツの統合のように南北朝鮮の統一に進むことになれば、東アジアに大きな変化が生れることになる。経済面でも、朝鮮半島が一つの経済圏になれば、アジアの新た生産基地としてまた消費市場として、日本に与えるインパクトも計り知れない。

今後注目すべきは、日清・日露の時代ではないが北朝鮮を取巻く周辺諸国の動きである。とくに最近は、中朝の関係にロシアがくさびを打つがごとく動いたことが注目されたが、金日正の死後は中国とロシアという強大な隣国が
どう出るか目が離されない。核をめぐる6ヵ国協議は、これからは北朝鮮をめぐる5カ国(日本、韓国、米国、中国、ロシア)の外交戦となる。まず
12月28日の金日正の葬儀がその幕開けである。日本の外交力が問われるところであるが、我々国民の朝鮮半島への関心度も問われているのである。


aokijuku at 12:29│コメント(0)

トラックバックURL

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別の記事一覧
最新コメント