2012年01月28日

ビュッケブルグ歳時記 26

厳しい寒さに対抗する北ドイツ特有の冬料理

 北ドイツは札幌市より10度ほど高い所に位置すると聞くと、この地方の冬の寒さをお判りいただけると思います。12月に入ると日中の気温も零下数度という日が続きます。この寒さが襲って来ると人々は「チリメンキャベツと小便ソーセージの季節が来た!」と、歓声さえあげかねないのです。今日はこの野菜と、少々品の無い名前を持つソーセージ料理をご紹介します。

 チリメンキャベツはキャベツの一種ですが、他のキャベツのように葉を巻かないのです。写真を見ていただくと判ると思いますが、一本の茎に、ちりちりに縮れた葉がシュロのように付いている奇妙な形をしています。
 この植物を850年頃、北アフリカのアトラス山岳地方から持ち帰ったのはバイキングだそうです。彼の地では雑草とされていた草を祖国の地に植えた所、根をはり霜にも負けず繁茂したということです。そこへ、北ドイツでキャベツカブト虫災害が起こり、この地方の冬野菜であったキャベツが全滅したのです。それなのにチリメンキャベツだけは害虫も霜も何のその、元気に生育していたのです。野菜不足に困っていた主婦たちはこの雑草の料理に工夫を凝らしたのでしょう。その結果が、動物油脂の多い下品な名前を持つソーセージがよく合うという結果になったのだと思います。
 このソーセージも北ドイツでだけ作られています。南ドイツでは名前さえ知られていないようです。
 ベーコン、ラード、牛脂、タマネギ、香料を荒く混ぜた生地を薫製にした小型のソーセージです。この豊富な素材をまとめて作る製法から、ドイツ語の束ねるという言葉に通じることからこの名前がついたということですが、眉唾のような気もします。

 炒めたタマネギとチリメンキャベツをブイヨンでたっぷり煮込みます。少なくとも1時間半です。中途でソーセージを入れますが、その他にブタの腹肉など、動物性の油を多量に使うほど味が良くなるのです。
 そして忘れてならないのはシュナップスと呼ばれるアルコール度の強い火酒を共にサービスすることです。寒い国ほどアルコールがもてはやされるようですが、ドイツも然りです。それにこの国の大きな特徴、同好会好きということも加わって、12月から2月まで、どこかのレストランで「この料理を食べる会」があり、お祭り騒ぎの大声が外まで聞こえて来るのです。この国の人はなにかのきっかけを掴んで生活を楽しむ術に長けています。


aokijuku at 00:03│コメント(0)

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