2011年11月19日

スペイン体験記 15

スペインに来てから、色々な出会いや経験が出来た一年間でした。
とにかく、マエストロも見つけ、音楽院へ編入するため、自分に出来る作業を積み重ねていきました。

そんなこんなで、ついに編入試験の日がやってきました。
スペイン(マドリッド)の音楽院は上級音楽院を頂点として、初等、中等科の音楽院がいくつかあり、各音楽院にはスペインゆかりの音楽家、芸術家の名称が付いておりました。その中のひとつであるアルトゥーロ ソリアという音楽院で試験を行ったのですが、校舎はまさしく、映画に出てくるような洒落た造りで既に、心の中では
“あー、こんな素敵な場所で学べるなんて、まるで夢のようだ!”
と、受かってもいないのに、これから先に起こる全ての事柄が上手くいくような錯覚をしていたことを覚えています。

初めて足を踏み入れた校舎の中も素敵で、色々な楽器の音が聞こえてきました。
ますます、私の中のあこがれの妄想は膨らみます。

最初にソルフェージュの試験があり、音の聴き取り、初見歌唱、リズム取りがあり、j実技が最後に行われました。
何人か編入試験に臨むために来ており、私が希望していた、と、いうより、編入試験で望み得る、一番上のクラスの試験を受けたのは私ともう一人、ルーマニア人の2人が受けました。

試験後、2人で結果を待っていました。
ルーマニアの彼はスペイン語はほとんど話せず、何とか私の酷い英語でコミュニケーションを取ったところ、“もし、この試験が上手くいったら本格的にスペインに来てどんどん、勉強していきたいんだ“と、私と同じ気持ちの上、2人で同じ試験を乗り越えた時間を共有したせいもあってか、上手く言葉が通じ合わなくても、その根本の部分ではとても親近感を私は感じていました。

それからしばらくすると、女性が試験結果を伝えに来ました。
私の顔をニコニコしながら、一枚の紙を渡してくれました。
既にそのニコニコ顔で良い結果に違いないと感じましたが、紙に書かれている文章と合格学年を示す数字を確認するまでは非常にドキドキしていました。

一瞬のことでしたが、真っ先に数字が目に飛び込んできて、一年前に目標としていた学年に合格できたというのが分かりました。ちゃんと、仰々しい音楽院のハンコも押されています。
ルーマニア人の彼も合格していました。
ただ、目標としていた学年には到達していないようでしたが、とても満足そうでした。

この吉報を色々な人に伝えたくて仕方がありませんでした。
ルーマニア人の彼も同様らしく、2人で電話をかけるジェスチャーなどをしていると、
結果を知らせにきてくれた女性が、最後に事務室に寄っていくようにと、やはり、ニコニコした顔で私達を見送ってくれました。

頭の中は試験を受ける前以上にパーっとしておりました。
そんな幸せな時間がこれから事務室で一気に奈落の底に落とされることになるとは微塵も思っていませんでした・・・。



aokijuku at 00:03│コメント(0)

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