2011年10月29日

ビュッケブルグ歳時記 20

厳しい冬の前の楽しみ、巡回キルメスがやってくる

 ドイツの秋が深まった頃にやって来る嵐は厳しい寒さの他に、大人も子どもも共に楽しむ数日を運んできます。
 ウイーンのプラタやパリ、東京のデズニ–ランドのように大都会の年中開催されている遊園地は有名ですが、この国の中、小都市には常設された遊園地はありません。その代わりに、春秋2回、全国を回って興行する巡回遊園が来るのです。

 今年、ブッケブルグに来るのは10月の最後の週から11月にかけての5日間です。金曜日の午後が開催ですが、3日前になると町の中心にある歩行者通りは出入りが制限され準備が始まります。このような催し場のエヴァーグリーンである回転木馬やアウトスクターなどの他に、今年の新しい呼び物は何かと、庶民は好奇心の目を向けながら始まるのを待ちます。
 金曜日の午後、市長がブレイクダンスと名ずけられた回転車に初乗りすることで幕が開けられます。そして今年の呼び物、幽霊屋敷の前にはもう、怖いもの見たさの子ども達をサポートする大人を交えた長い列が出来ています。

 巡回興行者の話では、客数を減らさないために毎年のように新しい乗り物や呼び物を考えることに苦労するということです。また、悪天候はもちろん、不景気も興行成績に直ぐ響き、楽な職業ではないが、大半が先祖代々から引き続いている仕事なのでここで止める気は毛頭ないということです。一番気にかかるのが子どもの教育で、経済状態が許す限り寄宿舎付きの学校に入れているということです。未だ親の手を離れられない子ども達は、興行する町の学校に行けるそうですが、1週間で又違う学校に行かなければならないことの困難さは想像にあまりあります。

 乗り物を楽しんだ後では布製のペット撃ちの屋台などが待っています。直火で焼いたソーセージにビールも欠かせません。寒風にそなえて熱いグロッグ酒も売られています。子ども達の手には、林檎を赤飴で包み込んだ棒菓子が握られています。彼らの赤く汚れた口元は秋の巡回遊園地だけに見られるものです。
 日曜閉店が厳しく守られているドイツですが、この期間だけは日曜の午後の開店が許可されるので、家族連れで買い物も出来ます。
また最後の日には家族デーとして乗り物料金が安くなります。


 そして来週末には、河の畔にある隣の町に移動してゆくのです。


aokijuku at 00:03│コメント(0)

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