2011年09月25日

本当か?−脱原発で海外移転

韓国で9月15日に大規模停電がおきた。午後3時ごろから5時間も全国的に停電し、野球のナイター試合はとつぜん真っ暗闇になり、信号は消える、エレベーターは止まるなど、大混乱になった。緊急時に事前通告されるはずの工業団地の工場も、予告なしの停電で生産ストップした。韓国メディアの中には「原発事故があったのに徹底した節電で大停電の危機をのりこえた」と日本を引き合いに出して、韓国政府や電力公社を厳しく非難していると伝えられている。

日本では、管前首相の脱原発発言など脱原発の議論があると、必ず企業や工場の海外移転と国内の雇用喪失が言われる。産業界、経団連もしかりである。
しかし、こと理由を電力事情に絞るとこの論拠はうさん臭いと思っていた。それは企業の海外進出の現場感覚では当たり前のことであるが、海外では、電力不足とか電力供給が不安定のため停電は頻繁におこる。したがって、工場建設には自家発電設備は織り込まねばならないコストであり、電力をすべて外部供給に依存することは極めてリスクが大きい。中国、ベトナム、インドネシア、そしてインドなど、海外移転先はすべてしかりである。
なるほど、中国や韓国の電力コストは日本の半分である。しかしこれは、以前からのことであって、電力消費型産業ではとっくに検討済みで、脱原発におされて騒ぎ立てることではない。それより、韓国電力公社が、日本の3・11後にこのような低料金ではやって行けないと政府に抗議した事実に注目し、韓国の電気料金はいずれ値上げされると見るのが、企業の目というものである。
 情けないのは、マスメデアに冷静な分析とそれにもとづく論調がないことである。


aokijuku at 00:03│コメント(0)

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