2010年06月30日

「世界で知られた絵本画家」モーリス、センダックのこと

ローゼンバッハ美術舘、図書館

 2008年の春、3ヶ月ほど私はフィラデルフィアにいた。滞在先の近くにローゼンバッハ美術舘があった。小さくて感じのいいこの美術館は図書館も併設していて以前は画商でもあったローゼンバッハ氏の邸宅であったという。彼の収集していた貴重な図書が邸宅とともに寄贈されてできたときいていた。
 DH0000902階の壁にかなり大きなウイリアムブレークの素晴らしい水彩画が何気なくかかっていて驚いたことがある。
また、興味を魅かれたのは実物を見る機会はなかったがジョン万次郎の描いた絵などが何点かあるともきいていた。「万次郎は1841年15歳のとき4人の漁夫とともに土佐沖から漁に出て船が難破し、アメリカの船長に助けられこの船長にかわいがられて教育をうけ10年間をアメリカで過ごした後、鎖国中であった日本にかえることのできた数奇な人生をすごした人物である。」
 1999年10月から2000年2月にかけてこの美術舘で万次郎の紹介をしていたと記録があった。

DH000085この美術舘は絵本作家として有名なモーリス、センダックの作品をかなりの数保管していて時々展覧会をしていた。絵本の世界に私はくわしくないが何回もこの美術舘に通ううちにセンダックという作家に私はだんだん興味を持ち始めた。滞在先に近かかったこの小さな美術舘に散歩の折、時々立ち寄りボランテアで働いている受付の女性達とも親しくなっていた。

 ベネフィットパーテーに参加する。DH000082
本人不在の誕生日パーティー
4月30日はモーリスセンダックの80歳を祝う会であり彼の作品の特別展のレセプシオンもかねて盛大に行われるから参加しないかとさそわれる。
 一人500ドル、「そのうち350ドルに関しては税金の控除が検討される」
、そして夜おそくまでかかるパーテーに参加するにあたってホテルが必要なら
美術館が契約しているホテルを特別価格で紹介することができる、と丁寧なメールでのお誘いがあった。結局、懐が痛んだが500ドル払い参加し、センダックに会えるならと期待したが彼はついに来なかった。


 ブルツクリン生まれのユダヤ人
日本国際児童図書評議会の冊子からセンダックのことを引用させてもらう。

 ニューヨークのブルツクリンに1928年に生まれる。高校卒業後、ニューヨーク5番街にある有名なおもちゃ専門店FAOシュワルツのウインドウ、デスプレイの仕事を通じて斬新でセンス溢れる才能を発揮する。その後、自らの子供時代の原風景に根ざした旧い世界と新しい世界が共存する奇妙なイメージや独特の色使いを駆使してイラストレータとして活躍する。1963年に出版した「かいじゅうたちのいるところ」では、叱られて部屋に一人閉じこもった少年が空想の旅に出かけどこかユーモラスな怪獣たちと出会う冒険心や不安を背景にした不思議な冒険の世界を描き、コールデコット賞を受賞した。

 彼はなかなか人に会わない変人ときいてもいたからパーテーに来るのかどうか半身半疑だったががっかりしたことは否めない。そんなセンダックにぜひ会いたいと今でも思いつづけている。

昨年アメリカで『怪獣たちのいるところ』が映画化されて今年日本の各地でも公開されて話題になっていた。


aokijuku at 09:43│コメント(1)

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この記事へのコメント

1. Posted by いぶり みなこ   2010年06月30日 10:38
モーリス・センダックのことは知りませんでした。そして主賓が参加しない誕生日会というのも聞いたことがありません。驚きました。美術館や博物館は運営費を捻出するのが結構難しいという話を聞いたことがありますが、こういったパーティで税控除があるなら参加する人も出てくるのかなと思います。しかし個人で参加するには大金ですね。

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