2010年03月03日

私の好きなアーティスト 4   田嶋 宏行

抽象で幽玄からポツプ、を描いた画家であり、版画家であつた人

田嶋宏行 遠い記憶G 田嶋宏行は版画家として日本より海外によく知られた人であった。特にアメリカのおおきな美術館には彼の作品が所蔵されている。最初のころは画家を志して油彩を描いていたが途中で版画に転向し、それも木版であった。
 日本には古くから浮世絵版画という伝統がありこの浮世絵はヨーロツパの画家たちを魅了したことにより世界的な価値を持つようになった。それらの伝統
を踏まえて大正期から新版画と言うジャンルの版画が人気を呼んだがこれは画家、彫師、刷師と3者の分業によるものであったが、のちに創作版画といわれる分野がうまれた。これは画家自身が描き,彫り、刷る、という工程を全て1人りがこなすというものであった。一般的によく知られているのは恩地孝四郎である。田嶋宏行の版画は彼が全工程をこなす創作版画といわれるものである。

海外からのオファー田嶋宏行 赤いぽるた
 田嶋宏行の版画は誰にも真似のできない複雑な技法を彼自身が開発し作品からはどのようにして制作したのか解明できないものであり作品は独自な美しさ
で日本よりも海外の版画ファンを魅了し続けた。

 田嶋さんは1997年に逝去されアトリエにボナ、テイレ「bona tirer」作品が多く残されたため、それらは夫人の意思によって海外ではイギリスの大英博物館などに寄贈された。ここ何年かアメリカと東京を往復することの多い私が、インデアナポリスの美術館を訪問した折に美術館のキュレターの人たちの何人かが田嶋さんの作品をよく知っていて、私を介して話が進み、何点かの作品がまとまってインデアナポリスの美術館に寄贈されることになっておおいに喜ばれた。

ダンデイで飄々とした人
 私は残念ながら生前の田嶋さんとお会いしていないが、作品をみて想像するかぎり、とてもダンディでフェミニストで飄々としておられたにちがいない、そしてヒューマンな魂を持った人であったろうと思う。
 身近のどのような片隅からも純粋な作家の眼が美を発見し、作品にしてしまう。私のところで回顧 田嶋宏行−木版画の油彩小品展をした事がある。その作品はいまも新鮮で瑞々しく、カラリとして見る者をニヤリ、とさせるものであった。田嶋宏行展示風景2005年

        (写真提供)須坂版画美術館
 


aokijuku at 15:46│コメント(1)

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この記事へのコメント

1. Posted by いぶり みなこ(なみ)   2010年03月04日 10:11
アップされている青と赤の版画を拝見しましたが、とてもやさしい風合いだなあと思います。実物はもっと素敵なのだと思います。木というより、布のような揺らめきといいますか、漂うやわらかさを感じます。

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