2016年08月

2016年08月30日

【From America】「小麦粉に大腸菌?」

小麦にe coliアメリカのウインドゲイト緑です。

皆さんは「O157」という大腸菌の名前を耳にしたことがあると思います。多くは生肉食品の中から見つかり、下痢や嘔吐の症状でなかなか大変な菌だということは記憶にあることでしょう。アメリカでは大腸菌を総称して呼ぶ「e coli」(イー・コライ)という名前で報道がされ、生焼けの肉だけではなく、冷凍の果物や生野菜からも見つかったりして その度にグローサリーの買い物のリストから外すことになり、苦労しています。

先日、ちょっとびっくりするようなものにも大腸菌が入っていることが発表されました。それは小麦粉です。大腸菌は肉や果物、野菜といった水分を含むところに繁殖する、というイメージを持っていましたが、今度はなんとあのサラサラの乾いた小麦粉です。アメリカ大手のジェネラル・ミルズでは多くの製品をリコールすることにしたことを発表。我が家のパントリーにもその小麦粉がありました。

アメリカではクッキーを作る時に、ボールや泡立て器についたクッキー生地を焼かない生のままで食べるという習慣がありました。お母さんのお手伝いをした子供が、クッキーが焼けるのを待ちきれず台所でちょっと指に付けてペロリ、という光景がほほえましいアメリカのアットホームなイメージでした。アメリカのアイスクリームには「クッキー生地入り」のものもあるくらい人気の味なのです。しかし、クッキーの材料には必ずと言ってよいほど使われる卵。生卵にはサルモネラ菌がいるので、生のクッキー生地は食べないように、ということになり、がっかりしている人も多かったと思います。それに追い討ちをかけるように、今度は小麦粉も危ないことになりました。
クッキー生地は卵のサルモネラ菌のことがあり、生のものを食べる人は少なくなっていたと思いますが、子供が遊ぶ粘土の材料に小麦粉のものもあり、小さな子供持つ親達は食べ物だけでなく、おもちゃにも気を使うことになります。

唯一の救いは、小麦粉に熱を加えれば大腸菌は死滅するのでクッキー、ケーキ、また料理に使っても「加熱さえすれば」健康に影響はないので安心です。このニュースを知って、自分の身を守るのには 様々なことに気をつけないといけないのだと認識を新たにしました。



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2016年08月27日

ビュッケブルグ歳時記 138

不安


 今朝の日独両方の新聞からは、最後の夏の日を思わせる澄み切った青空が投げかける安らかさにふさわしくない不安なニュースを読み取ることになりました。


 日本の新聞は「24日、北朝鮮はSLBDを実験発射した。今回は、過去に較べて発射能力の進展を示す、日本の防空識別圏内に達する500キロの飛行力を記録。実戦配備近づく」と報道しています。
 そしてドイツの新聞の1面には「再び兵役義務帰還になるか」とあったのです。


 両記事とも戦争という言葉を連想させるもので、現実の平和日和と対比して、このような記事を読みたくないと思った読者が多かったと思われます。


 ドイツの実情をお伝えします。
 難民問題だけではなく、最近、南ドイツで起ったテロ行為とみまがう数々の蛮行から、今、ドイツでは「国民の安全性を確保するには」が、政府の第一の施政モットーとなっているのです。
 急場ー 規模の大きいテロ行為、サイバー攻撃と呼ばれるコンピューターやネットの通達機関が挫折した場合、何かの原因で飲み水が汚染されるとか電力供給不可になった場合、もっとこわい「穢れた爆弾」をテロリストが手にした場合など、危機が訪れてから対策を考えたのでは遅すぎるを理由に、与党は国民による民間防衛体制を新たにして市民の安全を確保しようとの草案を国会に提出、討議しているのです。この中には、こちらでは冬用食物を保存する動物に因んで”ハムスター買い”と呼ばれる、水、穀物類などの大量買い置きを市民にすすめる案も入っています。この民間防衛体制に賛成しない野党は、ただの”パニック作り案”だと反撥しています。

 そしてこの民間体制で対抗出来ないような大きな危機に面した場合、助けるのが軍隊というわけです。今までは軍隊は洪水などの広大地域の援助はしていましたが
町中の刑事事項などの手伝いはしていません。
 ドイツは5年前の2011年に、55年間継続した徴兵制を中止しました。
しかし、例えば軋轢の耐えないロシアと隣接する国々との境界線をNATO軍として守るためとか、散在する IS 国テロ軍に対しての対戦策には職業軍隊が必要だとして、場合によっては徴兵制度を再度施行することも考えに入れなくてはならないと主張するのが与党です。
 野党は、徴兵義務廃止はこの国の社会にとって数々の好結果を残している。例えば Das Freiwillige Soziale Jahr( 自由意志による社会奉仕の1年間)はブームとなって、学校を終えた若者が老人ホームの手伝いをしたり、ある者は環境保護の池掘りをしたりなど、良い成績を残していることを忘れるべきではない。
 民間防衛体制につづく徴兵義務再施行は、危険な方向に向かって行くような
気配をかんじると戒めている党もあり、しばらくの間は論争が続くと思われます。


 日本の市民もドイツの国民も、この先、次々に来る季節を平和の中で味わうことの出来るように皆が努力しなければと、強く思わされました。



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2016年08月23日

【From America】「機内でピーナッツは食べないで」

peanutsアメリカのウインドゲイト緑です。

夏休みには飛行機で様々な場所にバケーションでお出かけの人も多いと思います。最近は機内のサービスが悪くなり、ピーナッツの袋とソフト・ドリンクしか出ない、と嘆く人が多いのですが、そのピーナッツで興味深い経験をしました。

最近は食物アレルギーの人が多くなり、日本のレストランなどでも予約の際に「何かアレルギーはありますか?」と尋ねてくれるようになりました。食品パッケージにもアレルギーの可能性のある食物を表示して 出来るだけアレルギーによる事故がないように気遣っているのは有難いですね。

アメリカで私の乗った飛行機ではこんなアナウンスがありました。「ご搭乗ありがとうございます。本日は当機のお客様の中にピーナッツのアレルギーの方がいらっしゃいますので、機内サービスのピーナッツをお配りするのは中止致します。尚、ご自身でご用意なさったピーナッツ・バターのサンドイッチをお持ちの方は、恐れ入りますが、ピーナッツの成分が機内の空気中に舞うことも そのお客様には危険ですのでお召し上がりになりませんようにお願い申し上げます」とのことでした。アレルギーの重症度にもよりますが、自分が食べなくても その成分が空中を舞うだけでそれを吸ってしまいアレルギー反応が出る場合もありますから、こんなアナウンスがあったのだと思います。

アメリカ人はピーナッツ・バターとジャムを塗ったサンドイッチが大好きです。子供の時、学校に持っていくランチはこのP&Jサンドイッチとりんごにジュースなんていうメニューが定番です。当然のことながら、機内食が出ない国内線に乗る時には 自宅からこのサンドイッチを持って搭乗する人も多いはずです。
飛行機の中の閉ざされた空間に何百人という人が座って、同じ空気を吸っているわけですから、このような配慮も必要なのだと知りました。

皆さんも夏休みに飛行機でお出かけの際には、こんなアナウンスがあったらご協力を御願い致します。



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2016年08月16日

【From America】「甘い飲み物は止めましょう」

アメリカのウインドゲイト緑です。

暑い時には冷たい飲み物が嬉しいですね。しかし、その冷たい炭酸飲料水にどれだけ沢山のお砂糖が含まれているか? というのは意外に知られていません。
そこで、アメリカではこんなTVのCMが始まりました。

皆さんはコーヒーを飲むときにお砂糖をどのくらい入れますか? せいぜいお砂糖のパッケージの袋を一つか二つではないでしょうか? ところが、何気なく飲んでいる炭酸飲料水のボトルにあのお砂糖のパッケージが16個!!入っていると知ったら どうしますか?
TVの画面は、お砂糖のパッケージを口の注ぐ様子が映し出され、「20オンス(約592ミリリットル)のソーダのビンにはこれだけのお砂糖(16個のパッケージ)が入っています。アナタはこんなにお砂糖を一度に食べないでしょう?」と訴えたのです。これはなかなかのインパクトがありますね。

お酒やタバコが身体に悪いことは知られていますが、私達もお砂糖に関してはちょっと判断が甘いことが多いと思います。お砂糖は身体に悪い。なぜ悪いのか? といえば、糖尿病、肥満、心臓病につながります。ということを知らしめるために「Southern Nevada Health District」つまりお役所が率先してTVのCMを始めたのです。これは、アメリカ人の炭酸飲料の消費に何とか歯止めを掛けたい! という熱意の表れだと思います。

つい冷たい炭酸飲料水に手が行くとき、頭の片隅に「16個のお砂糖のパッケージ」を思い出してみてください。その手がちょっとでも止まることがあれば、この報道は大成功なのでしょう。しかし、誘惑にはなかなか勝てないですよね。





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2016年08月13日

ビュッケブルグ歳時記 137

ベルリン市長


 数週間前に、東京都は新しい知事を選定したと聞きます。そこで、ドイツ便りとしてこの国の首都、ベルリンの市長についてお知らせしてみます。


 ベルリンは首都である他に、ドイツに3例(ベルリン、ブレーメン、ハンブルグ)存在する都市国家の一つです。都市国家とは、一都市が州と見なされて州と同じ地方政治を行う制度です。ですからこの3都市の市長は、市長であると同時に「施政する市長」でもあるのです。


 1年半前に選出されたベルリン市長ミヒャエル・ミュラー氏は、全てが機知に富み華麗でもあった前任者とは、容姿からはじまり性格も施政案も全てが正反対で、冷静に客観性をもって物事に対することのできる人と云われています。言い換えるとその名の通りの人というわけです。ミュラーは日本の鈴木とか中村に当たるありふれた名字です。何処にでも見かける普通の市民のような人という意味です。
 生まれは1964年で、テンペルホーフ地区で小さな印刷業を営む家庭で育ったということです。父親は熱心なSPD(社会民主党)の支持者で、稼業の傍ら、地方管区議会の議員を務めていたため、一家の食卓には常に”Willy"(現在では伝説英雄になっている、社会党ヴィリー・ブランド首相の愛称)がお総菜と一緒にあり、彼はそこから政治や社会主義について学んだと云っています。
 そしてミュラー氏は印刷工としての修業を終えた後、父親の会社で業務につく傍ら、SPD党員として活発に働いてきたようです。
 このような経歴は、ドイツでインテリとしてのほとんどの人が持つアビチュアー
(高校卒業及び大学入学資格証)を持たず、したがって大学学歴も無いわけです。
それ故、文化や学問的部門には弱いのではという批判に対して,彼は次のような
論拠を述べています。
 「自分としては装飾的な学問用語よりも大切なことがあり、それを第一に考えるべきだと思う。例えば、『自分の付いている職の将来は確保されているか』『子ども達の教育の保障は』『家賃の異常値上げは無いか』『おばあちゃんが行けるホームが見付かるか』 このような心配事は世界政治にはほど遠いが、多くの人が持っている案じ事なのだ。これ等の懸念事項が彼等の生活なのだ。だから、この危疑に対する答えをあげたいと努力するのが自分の第一の指標だと思う。SPD党首の
ガブリエルが『我が党は小市民の弁護党であるべきだ』と云っている通り、自分も小市民に尽くしたい。 国際空港工事がはかどらない事、麻薬政治が旅行案内書に記されていることなど、いろいろと恥ずべき障害はあるが、それでも1年に5万人がベルリン移住のためにやって来る。それを上手くさばくのも仕事なのだ」
 

 もし来週、地方管区議会選挙がベルリンで行われるとしたら、との仮定の下では最多数の26%がSPDに票を入れるだろうとの結果が出ています。念のために。


 このような市長のプロフィールがわたしに残した一番の印象は次の2事項です。
 一つは、ドイツでは誰でも、財産が無くても、大学歴が無くても政治家になれるということ。もう一つは、庶民の食卓に政治の話がオカズのようにあって、子ども達も一緒にそれを食するという事実です。この国の政治が透明で、市民のものと感じさせる根拠がここにあるのではないでしょうか。 


aokijuku at 22:12|この記事のみを表示コメント(0)
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