2023年08月12日

ビュッケブルグ歳時記 302

ドイツの奨学金について


 8月5日の新聞紙上で『全日制託児所を改善するために、全州が 4 Milliarden を来年度の予算に組み入れた」と読んだ折、この国は若い世代への思いやりの深い国だと思ったことがきっかけで、Blog 300 に書いたこの国の奨学金 BAFOeG = Bundesausbildungsfoerderungsgesetz (連邦奨学金資金法による奨学金)を思い出しましたので、今回はこの制度についてお知らせしたいと思います。


* BAFOeGの目的は、社会及び経済的に学ぶことのできない階級の青年達の、学業または職業勉学終了までの時期を経済面で援助すること。

* 対象は、職業教育学校、補習高等専門学校、アカデミー、単科大学等の学生など。対象の一部としてドイツ人だけではなくヨーロッパ・ユニオンの外国人、移住者、又ドイツに15ヶ月居住した避難民なども条件に叶う者は対象となる。

* また、既婚者や子供のいる学生についての特別援助もあるようですが詳細はここでは省きます。

* 年齢制限は45歳まで。

* 援助金額は2022年から月額934ユーロ。(それまでは860ユーロ)

* 返済については次の通り。
 すでにお伝えしたとおり、受けた金額の半分を返済すると残りの半分は国からの贈り物と考えてよく負債なしとなる。授与した金額の半分を無利息で、77ヶ月間に返済した人はその後、負債なしとなる。なんらかの理由でそれが出来なかった人も20年後には負債なしとなる。

 ここで1事項、お断りしておかなくてはならないことは、ドイツにも Stupendium という言葉があるのですがこの国ではこの機構は返済無しの援助金を指し、ある政党や宗教関係(教会など)の機構が出資をするものを指していて、約1%の学生が受けているということです。


 このようにパンデミーやインフレの時期にも、この国の政府は BAFOeG の改革を行なっていることを知ると、ドイツは 次の時代の国民を思う国なのだあと感心します。
 例えば凍る冬に備えて学生に暖房費を支給するなど、小さなことでも未来の国を築く子供、生徒、学生を思う国だと認識させられるのです。「民が主」の国、ということを忘れていないのだなあと思うのです。

 そして教育ということを思うとき、知識を与える、得るだけではなく、ここでも人間の多様さを忘れずに、一人ひとりが自分に合った生き方を選べるような機構にしていることも、それを全うしようとする若い人たちを応援することも忘れていないのです。そのような政治は民主主義の政治だと思うのですが。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2023年08月08日

【From America】「空の広告」

アメリカのウインドゲイト緑です。

広告には様々な方法があります。TVやラジオのコマーシャル、チラシ、アドバルーン、旗、日本の伝統的な方法としては「チンドン屋さん」なんて方法もありますね。アメリカは広大な土地がありますから、ビルボードと呼ばれる巨大な広告塔が高速道路の脇に掲げられる、という方法は決して珍しくはありません。しかし、その上を行く方法が小型飛行機を使って空を飛んで、飛行機の後ろに広告メッセージを付けて空を飛び回る、という方法です。

今回アメリカのフロリダ州の友人を訪ねて経験したのは、ビーチでのんびりしていると、ブーンと小型エンジンの音がします。当然のことながら、あれ? 何かしら? と空を見上げます。音楽など必要はなくて、エンジンの音で十分に人々の注意を引くことが出来ます。そして当然のことながら、その後ろについている大空を飛んでいく広告に目が行きます。広くて何もさえぎるものがない海岸線では実に効果的です。

空の広告勿論、お金を払ってこの小型飛行機をチャーターして広告をお願いするのですから、メッセージはなんでもオッケーです。スーパーマーケットのセールのお知らせや、イベントの公示などは実に効果的ですね。
友人の話によれば、あるカップルが素敵な結婚のプロポーズをしたそうです。小型飛行機をチャーターしておいて、女性をビーチにご招待。彼女はビーチで日光浴をしていると小型飛行機がブーンと飛んできました。当然のことながら、彼は「空を見てご覧」と一言。メッセージは「xxさん、結婚してください」と書いてある、という仕掛けをしたそうです。なんて壮大なプロポーズ大作戦だったことでしょう。アメリカの壮大な空に仕掛けられた壮大な結婚の申し込み。勿論 お答えはYES だったそうです。

日本ではちょっと考えられませんが、アメリカ的なスケールの大きさを感じますね。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2023年08月01日

【From America】「オートミールの食べ方」

アメリカのウインドゲイト緑です。

日本の皆さんの朝ご飯はどんなものを召し上がっていますか? 和食党の人もいれば洋食党の人もいると思いますが、一般的な洋食党の人たちの朝ご飯はコーヒーにトースト。卵料理が加わったりヨーグルトや果物を加えたり、というところでしょうか? シリアルに牛乳をかけて食べるという人もいると思いますが、コーンフレークやグラノラが多いと思います。それが最近になって、日本でもオートミールが注目されていますね。

オートミールを朝食に食べるのは、アメリカでは定番メニューの一つで決して珍しくありません。オートミールとはオーツ麦を食べやすく加工したもので、オールドファッションタイプとインスタントタイプがあります。いずれを使った場合でも、水を加えて火を通して一種のおかゆのような状態になったものに、いろいろ味を加えて食べるのが普通です。または、クッキーに加えて焼くこともありますが、ここでは朝食としてのオートミールについてお話しましょう。

トッピングホテルに泊まると朝食付きのサービスがよくありますが、アメリカのホテルの朝食ビュッフェには必ずオートミールが出てきます。そのトッピングの多さに今回はびっくりしたので、ちょっとご紹介しましょう。

大きな保温用の入れ物にプレーンのオートミールが入っています。それを器に自分で取って、様々なトッピングを乗せていきます。アメリカの定番は甘くすることです。先ずは粉砂糖や黒砂糖です。次はナッツ類とドライフルーツ類です。写真にあるのは10種類のトッピングです。クルミ、アーモンド、パンプキンシード、ココナッツフレーク、ドライクランベリー、干しブドウ、シナモンパウダー、などなど。色々入れれば毎日違う味が楽しめますね。勿論、生のフルーツをいれるのもお勧めです。

そして日本人なら和風にアレンジするのもありです。例えば、梅干しを入れたり、ふりかけやお茶づけの素を振りかけたりするのも美味しいです。また、おかゆ風にするのも美味しいです。ファイバーたっぷりのオートミールは健康にも大変良い食べ物です。

皆さんもオートミールを試してみてください。洋風和風自己流なんでもありです。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2023年07月25日

【From America】「アメリカのシニアは元気です」

アメリカのウインドゲイト緑です。

日本は世界的に見ても少子化が問題です。少子化と同時に高齢者の数が進み、どうやって年金で高齢者を支えていかれるか? が議論されます。学校は少子化に伴い合併したり閉鎖したり、という事が起っています。

アメリカには55歳以上の人たちが住むシニア・コミュニティーがあちこちにあり、元気なシニアたちが楽しんでいます。ある人によれば、町はシニア・コミュニティ-の開発を歓迎している、と言います。その理由は、年齢制限がないコミュニティーの開発をすると子供が増えて義務教育の為の学校を増やさないといけなくなり、町の予算がオーバーになってしまうから嬉しくないプランになるが、シニアの人口が増えても学校を増やす必要がないから歓迎している、というのです。学校が閉鎖になる日本とは全く反対のストーリーですね。

消費の面からみると、日本のシニアたちはお金を貯めることに専念して、持っている人は子供や孫に残すために貯金する。持っていない人は、老後の為にお金を貯めなければならないから自分の為にはお金を使わない。いずれの場合にも、消費はしない方向ですから、日本の商品開発やコマーシャルをするのは若い人をターゲットにしている場合が多いように思います。その方が儲かるからだと思います。
一方、アメリカのシニアたちは本当に元気で、人生を楽しむことを知っています。フロリダ州の友人を訪ねてみると、暖かい気候のせいもあると思いますが、屋外のアクティビティーを多いに楽しんでいて、テニス、ゴルフ、などは勿論、夕方からはバーやラウンジに行って軽い食事をしながらダンスを楽しむなど、実に元気で活動的です。そして、車いすの人でさえ、バーやラウンジのダンスフロアーの近くに席を取り、音楽を楽しんだりダンスを見て楽しんだり、と何でも若い人と同じに楽しんでいます。店の側も、シニアのお客様は夕方4時ころから早めに来店して夜の8時ころには早めに帰ってくれるので、平日のお客が少ない時間帯には大歓迎だと思います。

ダンス日本人は、「私はもう歳だから、xxxxはもう出来ない」と自らの選択でできる事を制限しているように思います。昔の日本人の女性は、「もう歳だから赤やピンクなどの派手な色は着られない」と自らの選択で洋服の色を暗い色に制限していました。それが、今では明るい色をお召しになる高齢者が増えて、私はとても喜んでいます。日本人の活動も洋服の色選びと同様に、もっと活動的になってくれたら良いな、と感じました。「もう歳だから」という言葉が死語になってくれるように祈っています。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)

2023年07月22日

ビュッケブルグ歳時記 301

『パートナーであり、競争相手であり、ライバルでもある・・・』


 この見出しで、今週の初めに新聞を賑わせたのが、ドイツの対中国戦術でした。
 
 『過去に居た800Million ( Million = 100万 ) の中国人口を貧困から救った現在の中国政府とドイツは、昨年だけで298Milliarden ( Milliarde = 10億 ) の商売をした業績があるが、これからの両国の経済航路は決して平坦ではない」と、みどりの党の外務大臣が議会で発表した、友好的だけではないドイツからの中国への戦術内容をお伝えしてみます。


* 協力精神を守る。 経済界での戦略を守るということは、ドイツの自由と民主主義、裕福国家、安全、他の国との協力などを確保できるということである。

* 今までは「人権」を守るということを忘れているような中国であったが、これからは北京でも「人権」を守ることを忘れてはならないと、強調する。

* 色々な原料についてだが、例えば現在、電気モーターや発電機に使う特別な「土」の98%を、EUは中国から輸入しているのだがこれを突然止めるということはできない。しかし突然中国を外すということではなく、中国に依存するということから来る『危険』を緩和することを我々は忘れてはならい。

* ドイツと中国の2国間の投資の防護であるが、これはインターナショナルの問題で、今まで決められた規約を守るということである。環境問題、労働問題、福祉関係事項、強制及び子どもの労働回避 etc. を守ることである。
 追加するのは、以後、危険の大きい商売をする場合はその担当会社が損得の責任を持つということで、これは中国側も同じ。

* Taiwan への関係は、Republik China と名乗っているが、ドイツ側からは拡大する。


 この日の社説でも中国問題がテーマで2つの面を持つ中国について読むことができました。
 「財力と接触」を何の咎めもなく振り撒くことで世界を混乱させる中国。だが、中国なしでは世界に進歩がないということも真実である。


 このような中国についての経済戦術がどこから生まれたのかと思った時に気が付いたのが数ヶ月前に知った、VW(フォルクス・ワーゲン車)が中国での販売に負けたという記事でした。
 その模様を大雑把に書いてみます。


 2023年までは ドイツのVW 車が1980年から中国の車売上の第一位だったのが、2023年になって中国の BYD 社製の車の販売が69%も上がって、VW もTOYOTA も売上13%下がることになったということです。

 中国では BYD、Pluy ~ in-Hybrien、Nino、Geely、Great Wall などの Elektro ~ Auto がよく売れているということです。

 このように中国でよく売れている E-Auto の中にはドイツ製の車は一社もなく、外国製では米の Tesla 製だけが一社入っているということです。


 この様なことが今回のドイツの対中國戦術の出どころかとも思ったのですが、社説の言う「中国なしでは世界に進歩がない」も本当なのかも、と思いました。そして、世界の国々が仲良くなるのは本当に難しいことなのだと思います。

aokijuku at 00:30|この記事のみを表示コメント(0)
月別の記事一覧
最新コメント